彼の所業

彼とは、野田佳彦首相のことである。
所業とは、要するに、彼が「やってきたこと」である。
今週いよいよ衆議院議員選挙がスタートし、彼があれこれ訴えている姿をTVでよく目にするようになっているが、その主張があまりにも異様なので、最低限の注意を促しておきたいと思うのだ。*1

もし、過去を一切なかったことにしてよいのならば、(賛同するかどうかは別として)彼の主張もそれなりにもっともなことであったりもする。しかし、彼が首相になってからやってきたことを考えると、今彼(とその側近ともいうべき人間たち)が述べていることは、やはりあまりにも異様である。

彼は、まるで自分が行政改革を主導してきたかのように語る。しかし筆者には、野田氏こそ、自公政権からの政権交代によって芽生えた改革の芽を丹念に摘み取ってきた張本人であるように思えてならない。もちろん、黒幕として動いた人間もあれこれいたことだろうが、最終的に首相の座にすわり、民主党が自壊する方向性を決定づけた責任が、彼、野田佳彦にあることは言うまでもないだろう。

彼は、この選挙戦の中で、「脱原発」を自分たちの政策として語ったりしている。しかし、それならば、あの大飯原発の再稼動は、一体何だったというのだろう?大飯原発の再稼動が、専門家による十分な検証もないままに行われたことを、あっさりと忘れてしまったりしていいわけがない。もしこの選挙戦で「脱原発」を主張するのならば、まず大飯原発は停止させるのが筋というものだろう。*2

また彼は、「地元の声は十分に尊重したい」などと口にしながら、民意などまるで存在しないものであるかのように、オスプレイの沖縄への配備を強行した。

そして、あの唐突な尖閣諸島の国有化だ。筆者は、尖閣諸島が日本の領土だと主張することに反対するものではない。しかし、あれほど拙劣なやり方で日中関係を一気に悪化させてしまった責任を露ほども感じていないような野田氏の姿は、あまりにも醜悪であり、直視するに堪えない。

さらに、消費増税の推進であり、TPPの問題があるが、このいずれも前回選挙時の民主党の公約になかったことであるということは、少し落ち着いて考えてみてもいいことだろう。

以上を要約するならば、野田首相は、絵に描いたような厚顔無恥な男である、と結論せざるをえない。*3厚顔無恥は、市井においては愛嬌になるようなケースもないわけではないだろうが、政治家ではそうは行かない。まして、首相の座になどいられては困るだけである。

彼には、できるだけ早く政界を去ってもらいたいと願うばかりだ。

*1:今回の衆院選をめぐる状況については、金子勝氏のブログhttp://blog.livedoor.jp/kaneko_masaru/が大変参考になる。ぜひ参照されるようお勧めしたい。

*2:http://www.asahi.com/senkyo/sousenkyo46/news/keyword.html#key_genpatsu

*3:ここは「厚顔無恥」というよりも、「言行不一致」というべきだったかも知れない。彼ほど公然と言行不一致を押し通してはばからない人物も珍しいと思う。